2017年12月12日 (火)

国立劇場十二月歌舞伎評

<見>「今様三番三」は白旗で布晒しを見せる華やかな舞踊。雀右衛門の曽我二の宮実は如月姫。優美に「三番叟」を舞った後、平家の大将・忠度の娘であることを明かし、源氏方と凛々しく戦う。品と力がある。襲名してから役者が大きくなっているが、舞踊でもそれを証明している。
歌昇の佐々木行氏、種之助の結城貞光。
芝居は「隅田春妓女容性」、通称「梅の由兵衛」の通し。小梅は亭主・由兵衛に必要な百両の工面を弟の長吉に頼むが、長吉の顔を知らない由兵衛は長吉を殺して自分のために工面してくれた百両を奪う悲劇である。「夏祭浪花鑑」や「双蝶々曲輪日記」「ひらかな盛衰記」が織り込まれれているのも、この作品の持つ面白さのひとつ。ただ、趣向が多くなると味が薄くなる。
吉右衛門の侠客、梅の由兵衛。序幕でしっかり台詞が入っていないのは気になるが。凄惨な殺し場では年齢を感じさせないキビキビした動きを見せる。殺しに至る心の葛藤が秀逸。
菊之助が小梅と長吉の二役。鮮やかに早替わりする。吉右衛門演じる由兵衛の女房として小梅はいささか貫禄不足。その一方、長吉は由兵衛と張り合える存在感を示している。
周囲はお馴染みの顔ぶれだが、役者の器が大きくなっていることを記しておく。
雀右衛門の額の小三に情がある。錦之助が小三と相思相愛の金谷金五郎。立派な二枚目。歌六の源兵衛。肚に一物ある侠客だ。又五郎のどび六は可笑しみある小悪党。
ほかにベテランの味、東蔵の信楽勘十郎。若手、歌昇の延紙長五郎、米吉のお君が若さあふれる好演。
6日所見。
――26日まで国立劇場大劇所で上演。

2017年12月 8日 (金)

十二月大歌舞伎評

<見>三部制。
第一部.「実盛物語」はやや不満。
愛之助の実盛。不満。口跡のいい役者なのに生締物の重みに負けたのか、台詞に力が入り過ぎ。そのため持ち前の爽やかさが減じられている。仁に叶った役なので、肩の力を抜いて演じればよくなる。
片岡亀蔵の瀬尾は満足。敵役の前半と「もどり」の後半を鮮やかに演じ分けた。娘や孫を思う情がにじみ出る。この演目の柱になっている。
松之助の九郎助、吉弥の女房小よし、猿三郎の仁惣太。子役の太郎吉。敢闘。
笑三郎の葵御前。門之助の小万。
次ぎの「土蜘」。ほぼ満足。
松緑の僧智籌実は土蜘の精。満足。前半、語尾を下げる癖が出ず、高僧に近づいた。後半、クモの糸を放つ立ち回りで見せ場を作る。
彦三郎の源頼光。ほぼ満足。口跡よく、存在感示す。
團蔵の平井保昌。
第二部
「らくだ」。満足。外れることはあまりない作品だが、死体を踊らせて爆笑を取る。
中車の紙屑屋久六。ほぼ満足。気弱な男が酒で強い男に変わる様も、まずまず。
愛之助のやたけたの熊五郎。満足。実盛とは異なり、のびのびと乱暴者を演じている。
亀蔵のらくだの宇之助。満足。台詞なしで、たっぷり笑いを取る。
橘太郎の家主幸兵衛。やや満足。老獪さが、わずかながら出る。
松太郎の家主女房おさい。
次ぎの「蘭平物狂」。満足。「行平館」は平板だが、「奥庭」のダイナミックな立ち回りで大きな見せ場を作っている。
松緑の奴蘭平実は伴義雄。ほぼ満足。前回より一子繁蔵(左近)への情は薄いが。
亀蔵の壬生与茂作実は大江音人。今月大働き。
新悟の女房おりく実は音人妻明石。愛之助の在原行平。児太郎の行平奥方水無瀬御前。
第三部
「瞼の母」。満足。石川耕士の演出で、忠太郎が母おはまと再会を果たす大詰だけでなく、兄弟分半次郎にやくざの足を著せる序幕から涙線を刺激する。
中車の番場の忠太郎。満足。ややかすれた低い声が、渡世人に似合う。裏街道を歩く男の切なさや誠をうまく表す。八月納涼歌舞伎の「刺青奇偶」の半太郎に次ぐ渡世人役。股旅役者とでも言おうか、いい鉱脈を手に入れた。
玉三郎がおはま。大きな料理屋の女将の役同様、舞台をしっかり支える。最後は息子を探しに行き、「忠太郎やーい」と呼ぶことが多いが、「忠太郎―」とだけ呼んだ。この人らしいリアルさである。
彦三郎の半次郎。萬次郎の半次郎母おむら。歌女之丞の夜鷹おとら。いずれもほぼ満足。
最後の「楊貴妃」はほぼ満足。幻想的な耽美の境地。
玉三郎の楊貴妃も、ほぼ満足。京劇に通じる美の世界を作り出した。
中車の方士。
4日所見。
――26「」日まで歌舞伎座で上演。

2017年12月 1日 (金)

焦点・舟木一夫の「忠臣蔵」

歌手・舟木一夫が東京・新橋演舞場12月公演で、暮れらしい通し狂言「忠臣蔵」に主演するという。11月30日の公開ゲネプロを拝見した。
芝居は昼の部が「忠臣蔵・花の巻」、夜の部が「同・雪の巻」。それぞれに別構成の「シアターコンサート」が付く。
報道陣に公開したのは「花の巻」である。大石内蔵助(舟木)は遊興にふける祇園の茶屋で、主君・浅野内匠頭(尾上松也)による吉良上野介(林与一)への刃傷、赤穂城明け渡し、山科での妻・りく(紺野美沙子)ら家族との別れを回想する。
歌手でありながら若い時からテレビ、映画、演劇で俳優の経験を重ねた舟木は、大石の苦悩と情をしっかり表現している。いわゆる歌手芝居の域を超えた演技だ。討ち入りのある「雪の巻」では里見浩太朗、田村亮が加わるので、豪華配役の通し上演である。◆ところで、敵役・吉良を演じる林与一と舟木の出会いは半世紀前に遡る。昭和39年のNHK大河ドラマ「赤穂浪士」での共演以来である。舟木の矢頭右衛門七、与一の堀田隼人だった。
与一は拙著「家元探訪」(出版研究センター刊)で、「高校三年生」でデビューしたばかりの舟木の指導を主演の長谷川一夫から頼まれたが、「よく勉強されていて、ほとんど何もいうことはなかったですね」と語っている。
ゲネプロの前に舟木に聞くと、「5年ぐらい前、偶然与一さんに、あなたの吉良が見たいと話したが、本当にそうなった。吉良と内匠頭がきちっと対峙しないと話がへなちょこになる。与一さんが出てくれてよかった」と喜ぶ。
芸能生活55周年記念でもあるこの12月公演中の12日に73歳になる。時の流れを感じさせる公演である。=敬称略(伝統文化新聞にも掲載します)

2017年11月12日 (日)

国立劇場十一月歌舞伎評

<見>新歌舞伎の二本立て。
一本目は山本有三の「坂崎出羽守」。孫娘・千姫を救出すれば嫁にやるとの徳川家康の言葉を信じ、炎上する大坂城に飛び込んだ坂崎出羽守の悲劇をつづる。
松緑が祖父・二代目松緑の演出を踏襲して出羽守に挑戦した。台詞の語尾を下げる癖が気になるものの、火傷で醜くなったことや女性に対して不器用なことなどの劣等感に苦しむ様を的確に演じている。暗い役が得意のようである。
梅玉の家康が興味深い。狸親父のイメージからほど遠いサラリーマン社長の如き家康だ。これが出羽守の激高、乱心を際立たせている。
左團次の重みのある金地院祟伝、梅枝の気の強い千姫、亀蔵の要領のいい本多平八郎、橘太郎の忠義な三宅惣兵衛ら周囲も固まり好舞台である。
もう一本は長谷川伸の「沓掛時次郎」。渡世人・沓掛時次郎は一宿一飯の恩義から殺めた三蔵の女房で身重のおきぬとその倅・太郎吉の面倒を看る人情股旅物。
梅玉が時次郎。やくざ者には不向きな役者で、さらりと爽やかに演じている。迫力不足だが。義理人情やおきぬへのほのかな想いが伝わる。
その女房おきぬが魁春。薄幸の女性はこの役者の得意技。おきぬが出産で死んだことを明らかにする場面、魁春は登場しないのに悲しみを漂わせる。
松緑の男気のある三蔵、息子の左近がいじらしい太郎吉で好演。
楽善が八丁徳で親分の貫禄を示した。橘太郎が安兵衛。歌女之丞が安兵衛女房・おろくで安宿の女将の情味を出した。
7日所見。
――26日まで国立劇場大劇場で上演。

2017年11月10日 (金)

こまつ座「きらめく星座」評

<見>井上ひさし昭和庶民伝三部作のうち昭和60年に初演された第一作。栗山民也演出。
第二次世界大戦開戦直前、浅草のレコード店オデオン堂を舞台に、戦争に巻き込まれていく庶民の姿を当時の流行歌をふんだんに使いながら描く。
3年前の上演と同じキャストのため全員よく役をこなしているが、とりわけ3人の好演がドラマを盛り上げた。
まず、木場勝己。東北で教職を追われた広告マン竹田慶介を演じている。独特の落ち着いた台詞術で、軍国化の時世に流されないリベラル派の立場をうまく表現している。
次ぎが山西惇。竹田に対峙するオデオン堂の婿で傷痍軍人の源次郎を好演している。単純思考で軍部の代弁をするのだが、時に三の線を織り込みユーモラス。
最後はオデオン堂の後妻・ふじ役の秋山菜津子。好戦・反戦を超越した女性ならではの逞しさを感じさせる。作品に込められた希望を明るく体現している。
内外の情勢が何かきな臭い昨今だけに、井上の反戦の叫びがひときわ高く響く。
共演は久保酎吉、田代万里生、深谷美歩ら。
4日所見。
――23日まで紀伊国屋サザンシアターで上演。

2017年11月 9日 (木)

顔見世大歌舞伎評

<見>今月の特徴は、藤十郎、菊五郎、幸四郎、吉右衛門、仁左衛門の大看板5人がそれぞれ若々しい役を勤めていることだ。
順を追ってその出演演目を見る。
昼の部の二番目「奥州安達原」の「環宮明御殿」。吉右衛門の安倍貞任。ニセの桂中納言では公家の気品を漂わせ、見顕してからは武将の大きさを示す。しかし、この演目は前半の雀右衛門が光る。親の意に反し敵方の息子・貞任と結婚したため勘当され、幼い娘を連れ放浪する盲目の芸人・袖萩の哀しみを切々と伝える。陰のある女性がうまい。東蔵が袖萩の母・浜夕。勘当はしたものの、娘への愛は断ち切れない母の情が舞台にあふれる。愁嘆場はこの人間国宝のためにあるようなもの。歌六が夫・直方。このところ様々な老けを手がけているが、東蔵の前ではまだ影は薄い。浄瑠璃は一級品の葵太夫。
次ぎが「雪暮夜入谷畦道」で菊五郎の片岡直次郎、直侍。「そば屋」で、粋な御家人崩れrの雰囲気が甘く漂う。余人をもって代えがたい当たり役だが、いささか貫禄が付きすぎでは。時蔵が三千歳で真っすぐな情を見せる。東蔵はここでは按摩の丈賀を器用に演じる。團蔵の暗闇の丑松。
夜の部に入ると「仮名手本忠臣蔵」の「五・六段目」で仁左衛門の勘平。繊細で瑞々しい色気がいまだに十分香る。線の細さをうまく出し、「鶍の嘴と食い違う」哀れを際立たせる。大看板の中では今月一番いい。ただ上方の人だけに上方の型でも演じてほしい。
秀太郎が一文字屋お才でさすがの存在感。孝太郎のおかる、吉弥のおかや。
「恋飛脚大和往来」の「新口村」は藤十郎の忠兵衛。柔らかさが切なさを呼ぶ。扇雀の梅川が舅に対する細かい情で見せる。歌六が孫右衛門。ここでも老けで健闘しているが、十三代目仁左衛門の枯れた父性愛の優しさが目に残っている者にとっては、まだまだである。
最後は「元禄忠臣蔵」の「大石最後の一日」。幸四郎が重厚かつ理性的な内蔵助。そして、初一念を通す武士道より、偽りを誠の愛に変えさせる、情に優れた内蔵助である。
染五郎が恋をじっと心に納めた磯貝十郎左衛門。児太郎が乙女田娘・おみのを好演している。磯貝の愛を命がけで確かめる姿に感動させられる。彌十郎が堀内伝右衛門。乙女田家の苦境を語る件は聴かせる。ほかに仁左衛門が颯爽とした目付役荒木十左衛門、金太郎が品のある細川内記。役者が揃い今月一番充実した舞台。
ほかに、昼の幕開き「鯉つかみ」。染五郎が志賀之助と鯉の精の二役。本水の大立ち回りで楽しませる。
2日所見。
――25日まで歌舞伎座で上演。

2017年10月19日 (木)

東宝ミュージカル「レディ・ベス」評

<見>東宝が「エリザベート」のコンビ、ミヒャエル・クンツェに脚本・歌詞を、シルヴェスター・リーヴァイに音楽を委嘱、小池修一郎の演出で3年前に初演した作品の再演。
英国女王エリザベス1世(=ベス)が異母姉で前女王のメアリー1世の迫害に耐え25歳で王位に就くまでの、恋と苦難の過程を描く。親しみやすい曲に乗り、初演から大型ミュージカルの風格を漂わせていたが、再演で作品の構図が鮮明に見えてきた。
ベスが家庭教師アスカムの父性愛、養育係アシュリーの母性愛に支えられて試練に耐え、女王として国民のために生きていく決意をするという構図である。
ベスはダブルキャストのうち花總まりを見た。初演より落ち着きが増し、演技に迷いが感じられない。恋か王位かの選択で悩む件は見せ場になり、王位を選んだ後が爽やかである。
今回は山口祐一郎のアスカム。終始抑制を効かせ、作品全体を優しく包んだ。涼風真世のアシュリーが歌唱で元宝塚トップスターの貫禄を示しながら、脇に徹していた。
山崎育三郎が情熱的な恋人ロビン、吉沢梨絵が苛酷なメアリーで好演。
13日所見。
――11月18日まで帝劇で上演。

2017年10月18日 (水)

焦点・猿之助の休演とアンダースタディ

市川猿之助が10月9日、東京・新橋演舞場で主演中のスーパー歌舞伎ⅱ「ワンピース」で負傷、休演のやむなきに至った。舞台も休演かと思いきや、翌10日、代役により続演。その舞台を拝見した。
猿之助が演じるはずの、夢多き海賊少年ルフィと女帝ハンコックの代役を勤めたのは尾上右近。名優六代目尾上菊五郎の曾孫で、清元節家元延寿太夫の次男である。子役で活躍の後、女形で頭角を現している20代の若手だ。猿之助の知名度、持ち味の穴埋めは出来ないが、台詞もしっかり入り、冒険活劇をスペクタクルに盛り上げた。
これだけ読むと、たった一日でと驚く人もあろうが、パンフレットを見れば直ぐに謎は解ける。右近、坂東新悟、中村隼人を中心にした若手公演が「麦わらの挑戦」としてこの公演に組み込まれているのだ。それが猿之助の怪我でスポットライトを浴びることになったわけだ。この事態、猿之助には気の毒だが、「麦わら」組にも、観客にも、そして経営の松竹にも不幸中の幸いであったと思う。
海外の演劇界では主要な出演者の代役を予め決め、十分稽古をして不測の事態に備えるアンダ―スタディ制度があると聞く。今回の例は若手育成が狙いだったのであろうが、アンダースタディ効果があったと思えなくもない。
猿之助一門には先代から若手公演の前例があった。先代猿之助(現猿翁)のスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」で市川右近(現右團次)が主役を勤める日もあった。
演出より役者本位の日本の演劇界にあって、アンダースタディ制度は難しいかも知れないが、若手公演の併設は、若手育成、主役の休養、事故対策としても有効ではないかと思う。そして何よりも猿之助の一日も早い回復と復帰を願う。=敬称略

2017年10月17日 (火)

能・白翔会評

<見>「翁」は坂井音雅の翁。折り目正しく楷書の演技。坂井音晴の神妙なる千歳。山本則重の三番三。揉みの段、鈴の段に力強さがあり、勢いを感じさせた。山本凛太郎の面箱。
「融―思立之出。酌之舞」は坂井音重の尉、融大臣。後ジテは風雅を愛し楽しん昔を素直に思い出しつつ謡い、舞い、大臣の大きさを示した。福王和幸の旅僧、山本東次郎の清水寺門前ノ者。
8日所見。
――国立能楽堂で上演。

2017年10月12日 (木)

東宝「土佐堀川」評

<見>副題に「近代ニッポンー女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯」が示すように、明治期に女性財界人として、また女性の地位向上に貢献した女傑の物語。近年、NHKテレビでもドラマ化され、その中のギャグ、ビックリポンも使われている。テレビも軽い喜劇だったが、それを押し進め漫画的喜劇になっている。テレビと異なるのは、舞台らしくしっかり、泣かせ、笑わせていることだ。特定企業ど大学の名が出てくるのは気になる。古川智映子原作、小池倫代脚本、田村孝裕演出。
高畑淳子が京の豪商・三井家から大坂の豪商・加島屋に嫁いだ浅子。振袖を振り回して闊歩する出だしからワイルドぶりを発揮し、疲弊した嫁ぎ先を再建、石炭事業の成功、女子大学設立運動と強い台詞でパンチをきかせながら最後まで一気に見せる。はまり役である。
赤井英和が浅子の夫、信五郎。テレビの和事風の人物とは異なり、しっかりした立役の風情。作品世界に合ったのか、台詞がなめらかである。
田山涼成が信五郎の弟・正秋で、狂言回しに芸達者ぶりを見せた。南野陽子が浅子を支える小藤を控えめに演じ、にぎやかな舞台に静かなアクセントを付けた。葛山信吾が大阪財界の大物・五代友厚と教育者・成瀬仁蔵の二役。
5日所見。
――28日までシアタークリエ。

<見>副題に「近代ニッポンー女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯」が示すように、明治期に女性財界人として、また女性の地位向上に貢献した女傑の物語。近年、NHKテレビでもドラマ化され、その中のギャグ、ビックリポンも使われている。テレビも軽い喜劇だったが、それを押し進め漫画的喜劇になっている。テレビと異なるのは、舞台らしくしっかり、泣かせ、笑わせていることだ。特定企業ど大学の名が出てくるのは気になる。古川智映子原作、小池倫代脚本、田村孝裕演出。
高畑淳子が京の豪商・三井家から大坂の豪商・加島屋に嫁いだ浅子。振袖を振り回して闊歩する出だしからワイルドぶりを発揮し、疲弊した嫁ぎ先を再建、石炭事業の成功、女子大学設立運動と強い台詞でパンチをきかせながら最後まで一気に見せる。はまり役である。
赤井英和が浅子の夫、信五郎。テレビの和事風の人物とは異なり、しっかりした立役の風情。作品世界に合ったのか、台詞がなめらかである。
田山涼成が信五郎の弟・正秋で、狂言回しに芸達者ぶりを見せた。南野陽子が浅子を支える小藤を控えめに演じ、にぎやかな舞台に静かなアクセントを付けた。葛山信吾が大阪財界の大物・五代友厚と教育者・成瀬仁蔵の二役。
5日所見。
――28日までシアタークリエ。

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