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2013年5月14日 (火)

東宝ミュージカル「マイ・フェア・レディ」評

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<見>ロンドン下町の貧しい花売り娘イライザが言語学者ヒギンズ教授の指導で貴婦人となる成長物語。「運がよけりゃ」「踊り明かそう」「スペインの雨」「君の住む街角」などヒット曲に恵まれ、日本でも初演以来半世紀にわたって上演され続けてきたブロードウェー・ミュージカルの名作である。この20年は大地真央がイライザを勤めてきたが、今回は霧矢大夢と真飛聖のダブルキャスト。演出(担当G2)も一新、訳詞(同G2)も変わり、作品は生まれ変わったと言ってよい。アラン・ジェイ・ラーナー脚本・作詞、フレデリック・ロウ音楽。
 どう生まれ変わったか。端的に言うと等身大のミュージカルになった。
まず、劇場がこれまでの大きな帝劇から中規模の日生劇場になり、物語が身近な出来ごとに感じられるようになっている。出演者もしかり。大地のイライザは近づきがたい美しさで貴婦人に変身、広い舞台を圧倒した。今回は霧矢のイライザを見たが、終始可愛らしく親しみやすいイライザである。大地が際立たせた女性の自立というテーマより、愛を求める女性のいじらしさが伝わる。
 ヒギンズの寺脇康文も英国上流階級に属する知識人というより、むしろざっくばらんで庶民的な先生。その母役の江波杏子も気さくな中年女性である。
 目を引いたのはイライザの父、アルフレッド・ドゥーリトルの松尾貴史。一見覚めた演技で、原作者バーナード・ショウの残した上流階級へのシニカルな視線を感じさせた。
ヒギンズの秘書役ピアス夫人の寿ひずるがヒギンズ家の格式を示し、フレディの平方元基が、高い歌唱力を披露した。ピッカリング大佐に田山涼成。
名曲「スペインの雨」の訳を「日向のひなげし」に大胆に替えている。英語の訛りの矯正を日本語の「ひ」と「し」の混同の矯正に置き換え、日本人にも分かりやすくしたようだ。努力は評価するが、元が有名なだけにこの訳詞になじむには少し時間がかかるのではないか。
 本作は等身大の十分楽しめるミュージカルである。ただ、演劇界の華だった大型ミュージカルが次第に少なくなっていくのは淋しい気がする。
9日所見。
――28日まで日生劇場で上演。
(写真は寺脇康文と霧矢大夢)=東宝提供

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