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2013年6月16日 (日)

ミュージカル「天翔ける風に」評

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<見>ロシアの文豪ドストエフスキーの長編小説「罪と罰」を大胆に翻案した野田秀樹の戯曲「贋作・罪と罰」を、謝珠栄が演出・振付したミュージカルである。玉麻尚一音楽。
 選ばれた天才は世の中のためになるなら、くだらない人間を殺すことを許されると信じる原作の主人公ラスコーリニコフを、野田版は幕末の江戸開成所で学ぶ秀才で剣豪の女塾生・三条英(はなぶさ)に置き換えた。貧苦にあえぐ英は世のためにと強欲な金貸しの老婆を殺すが、偶然その場にいた老婆の妹まで殺してしまう。倒幕のうねりの中で変革を求めて親友・才谷梅太郎(石井一孝)と共に戦うが、刑事・都司之助(浜畑賢吉)の執拗な追及の前に犯した罪を告白する。
 野田は幕末の狂乱現象「ええじゃないか」を「ええわけないじゃないか」と混ぜ返し、いつの間にか坂本竜馬が登場人物の中に潜ませ、1970年前後の学生運動の雰囲気を盛り込むなど得意の野田ワールドを展開、動乱変革の嵐の中に大きな愛を花開かせる。謝はそれをロックとダンスでダイナミックでエネルギッシュなミュージカルに仕立てた。再演を重ね、安定した舞台になっている。
 出演者は初役揃いだが、いずれも熱演。朝海の英は凛々しく、哀しく、石井の才谷は青年の夢を感じさせる。
13日所見。
――25日まで、シアタークリエで上演。
(写真は朝海ひかる)=東宝提供

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