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2014年6月 9日 (月)

歌舞伎座・六月大歌舞伎昼の部評

<見>歌舞伎座六月大歌舞伎夜の部は、松緑長男・尾上左近初舞台の「蘭平物狂」から。
父の敵、在原行平(菊五郎)を狙うため在原家の奴となった蘭平、実は伴義雄(松緑)と、行平の家来になった息子・繁蔵(左近)を描くトリッキーな義太夫狂言。
松緑はこのところ口跡もよくなり、眼目の大立ち回りでも気迫を見せる。繁蔵への父親としての情がもっと欲しいところ。左近は8歳ながらしっかり舞台を動く。劇中の口上の挨拶も愛らしく、大きな拍手を浴びた。
 おりくに時蔵、与茂作に團蔵、行平奥方水無瀬御前に菊之助。
  続く「素襖落」は、使いに行った先で酒を馳走になった太郎冠者(幸四郎)が、土産にもらった素襖を主人である大名(左團次)に取り上げられ、からかわれる狂言舞踊。
 幸四郎は、昼の部の大石内蔵助とは正反対の陽気な軽杯者を軽妙に演じる。酔態での仕方話など、軽やかに踊り、愛きょうを振りまいた。
 太刀持ち鈍太郎に彌十郎、姫御寮に高麗蔵。
  今月最後の演目は、新歌舞伎「名月八幡祭」。純情で素朴な田舎商人・縮屋新助(吉右衛門)が、江戸・深川の奔放な芸者・美代吉(芝雀)に騙され、全財産を失い発狂、美代吉を殺す。新歌舞伎らしいリアルで凄惨な物語である。
 堂々たる時代物役者の吉右衛門の暗い役はあまり見たくはないが、実にうまい。狂ってからは鬼気迫る迫力。どんどん引き込まれて、つまり、こちらも暗くなるほどである。
 周りもうまい。芝雀は二幕の新助への愛想尽かしで腕を見せる。金に困り、新助と所帯を持ってもいいという段階では、まんざら嘘でもなさそうに演じている。それが、金の都合がつき、情夫・三次(錦之助)が帰ってくると簡単にひっくり返る。所業にさして悪意ではない。ただ、気持ちが変わっただけである。芝雀は、そういう女の恐ろしさを感じさせる。
 新助を気遣う魚惣の歌六、美代吉に手切れの大金を与える鷹揚な旗本・藤岡慶十郎の又五郎、美代吉に絡みつく悪党の情夫・三次の錦之助、美代吉のお袋・およしの京蔵ら共演陣がしっかりしている、
3日所見。
――25日まで上演。

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