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2014年9月10日 (水)

東宝ミュージカル「シェルブールの雨傘」評

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<見>丁度半世紀前の同名フランス映画の舞台化作品。5年前に日生劇場で謝珠栄演出・振付、井上芳雄主演で日本初演したが、今回は同じコンビ。劇場をシアタークリエに移しての再演である。
 つつましく暮らす若い男女、ギィ(井上)とジュヌヴィェーヴ(野々すみ花)が恋に落ち、アルジェリア戦線への出征によって引き裂かれる悲恋物語である。
 井上はミシェル・ルグラン作曲の哀切極まりないお馴染みの主題歌を2度熱唱する。最初は1幕のラスト。出征のために別れなければならない悲しみを切々と。もう1度は2幕半ば、激戦地アルジェリアでジュヌヴィェーヴに会えない苦しみをぶつけるように激しく歌う。劇場が狭くなったこともあろうが、線が太くなり、肚も充実してきた井上の歌唱は、5年前に比べ迫力を増し、切実な思いがより強く伝わる。これだけでこの舞台は成功といえよう。
 別れて数年の歳月が流れた2幕のラスト、2人は偶然再会する。裕福な宝石商カサール(鈴木綜馬)の妻になったジュヌヴィェーヴはキィとの間の子を連れている。ギィも旧知のマドレーヌ(大和田美帆)を妻に持つ身だ。ここは、口に出せない大人の悲しみをしっかり見せてほしい。大人に成長するための甘酸っぱい痛みがそこにある。戦争の悲劇性もさらに大きくなる。
 ジュヌヴィェーヴの母・エムリー夫人に香寿たつき。
5日所見。
――21日までシアタークリエで上演。
(写真は井上芳雄と野々すみ花)=東宝提供

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