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2014年10月26日 (日)

焦点・野村萬斎「ござる乃座」50回公演

 狂言師・野村萬斎主宰「ござる乃座」が50回目を迎えた。昭和62年以来、留学と震災の年を除いて2日間公演を毎年2回、個人で開催してきての50回。快挙である。25日の舞台を拝見した。
 今年人間国宝になったばかりの観世流・梅若玄祥さんの重厚な舞囃子「山姥」のあと狂言「狸腹鼓」でシテの狸を演じた。尼に化けて猟師に殺生を止めさせる雌狸で、夫や子を思う情に優れている。注目したのは謡う台詞のうまさだ。芸の階段を一段昇ったと見た。最後は、萬斎さんが師父と仰ぐ人間国宝・野村万作さんの狂言「狐塚」。シテ・太郎冠者で、枯淡の至芸を披露したのは言うまでもないが、声が一時より強くなったように思えたのは収穫であった。
 萬斎さんは狂言界のプリンスとして十代から注目を集めていたが、他分野での活動の歴史も古い。フランス文学者・渡辺守章さんの演出で平成2年に上演した「ハムレット」では本名の野村武司で繊細なハムレットを演じていた。平成9年のNHK朝の連続テレビ小説「あぐり」で茶目っ気のある二枚目を好演、これで全国的人気を得たのは間違いなさそうだ。拙著「家元探訪」で、日本舞踊におけるスターの必要性を説く花柳流家元・花柳壽輔さんは萬斎さんを例に挙げ、「芸の基礎もできていますが、外国で学び、テレビで活躍、狂言の発展に貢献しています」と語っている。
 「ござる乃座」50回公演達成は実力なくして不可能だが、伝統芸能の世界におけるスター性の効果を証明したものともいえよう。パンフレットで「狂言そのもの、また狂言師としての〝to be,or not to be〟を考え続けた50回だったように思います」と記している。50歳までまだ2年あるそうだ。100回まで続けてほしいと思う。(伝統文化新聞にも掲載します)

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