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2014年12月14日 (日)

東宝「ショーシャンクの空に」評

<見>20年前に映画にもなったスティーヴン・キングの小説「刑務所のリタ・ヘイワース」の舞台化。白井晃演出。
 冤罪で終身刑となり米国ノショーシャンク刑務所に投獄された有能な若手銀行員・アンディ(佐々木蔵之介)が、刑務所長・スタマス(板尾創路)や看守たちの節税、脱税を指導することで地獄のような刑務所を改善していく。新入りの囚人トミー(三浦涼介)から真犯人の存在を知り、スタマスに訴えるが無視されたため脱獄を決意する。
 この筋だけ読むと映画「大脱走」や「パピヨン」、冒険小説「モンテ・クリスト伯」などの脱獄物を連想するが、さにあらず。舞台はほぼ獄中で、暴力、不正が横行する。松井るみの美術は移動する鉄格子。金属音を響かせる井上正弘の音響は恐怖をかきたてる。脱獄成功後の痛快脱獄劇には程遠く、絶望的な状況にめげず、あの手この手で立ち向かう男の抵抗の物語といえよう。殺戮や不正が後を絶たない現実社会こそ、過酷な獄舎であると訴えているのだ。
 佐々木はじっと逆境に耐えながら希望を失わないアンディを好演している。
 そして最も光るのは、刑務所内にありながらいろいろな物を調達するレッドの國村隼。アンディとの友情を着実に築いていく。狂言回しも引き受けているが、人間味あふれる渋くてソフトな語り口は一級品である。
 ほかに老囚人ブルックシーの小林勝也がベテランの味を出していた。
 軽く楽しい舞台の多いこの劇場にあって、珍しく重く、迫力のある作品である。
12日所見。
――29日までシアタークリエで上演。

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