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2015年1月 8日 (木)

初春大歌舞伎夜の部評

<見>夜の部は、岡本綺堂の新歌舞伎「番町皿屋敷」から。吉右衛門の旗本・青山播磨に芝雀の腰元・お菊。吉右衛門は播磨を一本気で純真な男に描き、播磨の愛に疑念を抱いたお菊に対する怒りを鮮烈に出す。芝雀も播磨の結婚の噂に揺さぶられる菊の心情を丁寧に描く。旗本が腰元を手討ちにする悲劇だが、身分を越えた純愛物語にもなり、新歌舞伎らしい舞台である。
 町奴と喧嘩する播磨をいさめる伯母・真弓の東蔵に重みがある。
 お菊を手打ちにしようとする播磨を止める奴・権次の吉之助に必死の思いが出て好演。
  続く「女暫」は歌舞伎十八番の「暫」の主人公を女性に変えたパロディ。公家悪の蒲冠者範頼(歌六)が清水冠者義高(錦之助)や紅梅姫(梅丸)ら善人の首をはねようとするところに勇ましい美女の巴御前(玉三郎)が「しばらく」と声を掛けて登場、善人方を救う。轟坊震斎(又五郎)、女鯰若菜(七之助)、腹出しの成田五郎(男女蔵)ら敵役も揃い、お祭り気分のゆかいな舞台である。
玉三郎の巴御前はおおらかにツラネを語り、愛きょうたっぷり。最後は幕外で、吉右衛門の舞台番・辰次に荒事を教わって引っ込む御馳走付き。今月最も正月らしい作品である。
 最後は猿翁十種「黒塚」。老女岩手実は安達原の鬼女を猿之助が演じる。阿闍梨祐慶(勘九郎)と出会う序盤の、能を意識した静から、人間の裏切りに怒る終盤の動まで、変化に富んだ展開で見せる。
 山伏に門之助と男女蔵。重い作品の空気の中で、強力太郎吾の寿猿が柔らかい部分を引き受けて好演。
4日所見。
――26日まで歌舞伎座で上演。

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