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2015年1月 5日 (月)

新春浅草歌舞伎評

<見>若手修練道場の役割を果たしてきた浅草歌舞伎。今年は主要キャスト7人が全て20代というから、実に若い。したがって舞台も若い。新鮮な反面、まだこれからという舞台も多いが、第2部の「仮名手本忠臣蔵~五、六段目」は見ごたえがあった。
 猪と思って鉄砲で人を殺め、懐から敵討ちに必要な金を手にするが、後にその金は女房おかるが自ら身売りした金であることを知り、死なせたのは舅と思い込んで腹を切る主人公・勘平は立役の大役。7人の中で最年長29歳の松也が勘平に初挑戦。口跡よく、すっきりして上出来。六段目の腹切になってからの名台詞を抑えた声でしっかり語り、イスカの嘴の如く食い違った無念さをしっかり出している。難を言えば、六段目の花道の出で緊張しているように見えたことだ。ここは軽やかにに出てきた方が、腹を切る後半の悲劇との落差が出るのではないか。初日から2日目のためかも知れないが。とにかく、いい勘平役者が誕生した。
 女房おかるの児太郎も娘らしさを残し、松也の演技をうまく受け止めている。
 ほかの共演陣も好演。おかるの母おかやの芝喜松は優しい老母。これで勘平を自害に追い込めるのかと心配させるほどだが、じんわり追いこんでいく。勘平の無実を知ったときの嘆きも大きい。一文字屋お才の歌女之丞、判人源六の蝶十郎は色街に生きる者の雰囲気を出している。不破数右衛門の歌昇、千崎弥五郎の隼人も懸命に演じている。
 五段目のおかるの父・与市兵衛の大蔵も柔らかい感じが出て、好感の持てる老人になった。斧定九郎の巳之助の「五十両」は力が入っていた。
 第2部はほかに、種之助、隼人の「猩々」、松也、歌昇らの「俄獅子」のにぎやかな舞踊二題。
 第1部は、松也、児太郎、隼人の「春調娘七種」と巳之助、種之助の「独楽売」の舞踊作品の間に「一條大蔵譚」。歌昇が大蔵卿の作り阿呆と忠義心を懸命に演じ分けた。常盤御前に米吉。
3日所見。
26日まで浅草公会堂で上演。

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