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2015年12月19日 (土)

民芸「根岸庵律女―正岡子規の妹」評

<見>明治俳壇の雄、正岡子規を支えた妹・律の半生記である。主役は17年前の初演の奈良岡朋子から中地美佐子に代わった。小幡欣治作、丹野郁弓演出。
 1幕は病魔と闘いながら俳句を作る子規(斎藤尊史)、子規を看病する妹・律(中地)と母・八重(奈良岡)を描く。俳人や弟子の出入りもにぎやかで、時に上ずった感じのする台詞もあるが、奈良岡が落ち着いた台詞で舞台を安定させる。律は強情で純情な女性とされているが、初演の奈良岡は強情な面がよく似合い、中地は純情な面がぴったりである。中地は2度の離婚歴のある律を屈折した心理を織り交ぜながらさわやかに演じた。斎藤の演じる子規は人間味豊かである。ただ、大芸術家としての威厳も見せてほしい。病に冒され苦しむ姿は熱演であった。
 2幕は子規の死後。律は努力して苦手なはずの裁縫の教師になり、正岡家を支える。養子雅夫(大中輝洋)を迎え、家と子規の俳句を守らせようとするが思い道理にならない。しかし、やがて律と雅夫は理解しあうようになる。この件は感動的である。中地は亡き兄を敬愛し、家や養子を思う律をしっかりした裁縫教師として律を演じている。奈良岡の演じる母・八重は一家の動きを静かに客観視する。ベテランの味である。
16日所見。
――19日まで三越劇場で上演。

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