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2016年1月 3日 (日)

焦点・浅草歌舞伎鏡開き

 歌舞伎座、新橋演舞場、国立劇場、そして浅草公会堂――4座で初春歌舞伎の幕が華やかに開いた東京。正月2日の初日開演前に浅草公会堂前で行われた新春浅草歌舞伎鏡開きに足を運んだ。
 鏡開きのイベントに参加した役者は20歳から30歳までの若手6人と上置きの中村錦之助。そのあいさつを紹介しよう。
 この公演で「与話情浮名横櫛」の切られ与三と「義経千本桜」の狐忠信の大役を勤める30歳の尾上松也は昨年に引き続きリーダー格。「新生浅草歌舞伎になって2年目。まだまだ未熟ですが、情熱はほかの劇場に負けません」と神妙に決意を披露。「三人吉三・大川端」のお坊、「土佐絵」の不破伴左衛門、「毛抜」の粂寺弾正、「千本桜」の亀井六郎の4役で奮闘する坂東巳之助は昨年、父三津五郎を失ったばかりだが、「26歳で、物忘れが激しい。しかし芸への真摯な気持ちは忘れず頑張ります」と笑いを取った。そして「毎日進化し続ける舞台に」(坂東新悟)、「お客様がサルことのないよう精いっぱい勤めます」(中村米吉)、「女形、立役と二役勉強できることをうれしく思っています」(中村隼人)、「今年20歳、勝負の年」(中村国生)と元気なあいさつが続いた。
 隼人の父親、錦之助が述べたように「これからの歌舞伎を背負って立つ役者」たちである。この時代がなければ、今の大看板も存在しない。歌舞伎役者の原石を見る思いで、毎年この鏡開きを楽しみにしている次第である。
 ところで今月、上村以和於著「東横歌舞伎の時代」(雄山閣)が出版された。昭和29年から46年までの間に渋谷・東横ホールで64回開催された東横歌舞伎を紹介した労作である。浅草歌舞伎の前に存在した若手修練道場とも考えられる東横歌舞伎。ページをめくっていると、当代尾上菊五郎、故三代目尾上松緑、故十二代目市川團十郎が菊之助、辰之助、新之助の三之助で出てきた。時の移ろいを感じる。=敬称略(伝統文化新聞にも掲載します)

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