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2016年3月11日 (金)

国立劇場三月新派公演評

<見>新派名優の当たり役2作品が並ぶ。花柳十種の内「遊女夕霧」は川口松太郎作、大場正昭演出。大正期の吉原、遊女夕霧(波乃久里子)は惚れ合った番頭与之助(市川月乃助)が多数から金をだまし取って自分に貢いだことを知ると、与之助の罪を軽くするため、だまされた人たちにを訪ね歩き、金を借りたことにしてほしいと懇願する。
 波乃は苦界に落ちながらも純な愛を求める夕霧を情を込めて演じる。年季が明けても与之助の出世に障るから妻の座を望まない、と切々と語る件は泣かせる。
 柳田豊が夕霧の頼みを聞いてやる講談師円玉で伊藤みどりが女房お峯。2人に情があり、見ていて気持ちがいい。若々しい月乃助も好演、日本情緒漂う新派らしい芝居になった。
「寺田屋お登勢」は八重子十種の内で、榎本滋民作、成瀬芳一・斎藤雅文演出。
 幕末の伏見。勤皇の志士を支援する船宿の女将お登勢(水谷八重子)は亭主を持つ身でありながら気宇壮大な坂本龍馬(中村獅童)に密かに心を寄せている。しかし、龍馬は養女お龍(瀬戸摩純)と結婚、そして暗殺される。
水谷は危険も顧みず志士を助けるお登勢の侠気を歯切れよく演じ、獅童の龍馬も破天荒で豪快。激しい立ち回りもあり、楽しめる幕末歴史劇になった。
 脇では英太郎演じる龍馬の姉乙女が光る。新派女形ここにあり。
8日所見。
――27日まで国立劇場で上演。

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