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2017年7月 6日 (木)

文学座「中橋公館」評

<見>真船豊作、上村聡史演出。
半世紀にわたり中国の辺地で医療活動に奔走した日本人医師・中橋徹人(石田圭祐)一家は北京で終戦を迎え、引き上げか残留かを迫られる。
この極限状態の中で浮かび上がるのは、使命感に燃えるあまり家庭を一顧だにしなかった徹人と病弱ながら母・あや(倉田章子)と三人の妹を支えてきた長男・勘助(浅野雅博)との根深い確執である。「父帰る」の構図だが、男と家庭の永遠の矛盾がうまく出ている。
石田は気宇壮大ながら傲慢な医師を豪快に演じている。はまり役である。
浅野は父から引き継いだ短気と父にない優しさを勘助に塗り込んでいる。
倉田は夫に従うだけで存在感の薄い母を神妙に演じていたが、後半、内地で予科練に志願した孫を思う長台詞で、実力を存分に見せつけた。
 作者の視点は戦前の中国における日本の行動に対する反省に立脚しているが、礼儀を忘れない日本は復興すると語らせているのは興味深い。
1日所見。
――9日まで紀伊国屋ホールで上演。

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