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2017年9月28日 (木)

焦点・劇団若獅子結成三十周年記念公演

赤城の山も今夜限りー。力強く、また切ない笠原章の名調子が観客の心をしかとつかんだ。9月27日に東京・新橋演舞場で開かれた劇団若獅子結成三十周年記念公演での、やくざの義侠心を描いた傑作「国定忠治」の名台詞である。
大正6年に澤田正二郎が創立、島田正吾、辰巳柳太郎の二枚看板で発展した劇団新国劇。男の義理人情、人間の誠を名台詞で歌い上げ、男性客を引きつけたが、女優芝居やテレビドラマ台頭の流れに抗えず、昭和62年に幕を閉じた。創始者澤田の遺志を継ぐべく、笠原ら新国劇有志で結成したのが若獅子である。
筆者は新国劇解散について当時、読売新聞にいくつもの記事を書いた。「七十年続いた“男の芝居”も女性観客主流の時代には勝てなかった」と記し、「後継者がいない」という島田の解散理由も載せた。その中で永山武臣(当時松竹社長)は、「解散は残念だが、新国劇の精神はきっとだれかが受け継いでいくと思う」と語っている。それが笠原たちであったわけだ。
今公演の幕が開く前にあいさつに立ったベテラン女優の南條瑞江は「ようやく30年を迎えた」と喜んだ。しかし、厳しい道程であったことをうかがわせる言葉だった。そして代表の笠原はゲストで「月形半平太」に出演した市川猿之助や「国定忠治」に出演した伊吹吾郎らとカーテンコールに並び、「これからも頑張ります」と今後の決意を述べた。
新国劇を解散に追い込んだ女優芝居やテレビドラマも、時移り、昔日の勢いはない。芝居にとって難しい時代に若獅子は如何に生き残るか。男の芝居の意地を見せてほしい。=敬称略

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