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2017年10月18日 (水)

焦点・猿之助の休演とアンダースタディ

市川猿之助が10月9日、東京・新橋演舞場で主演中のスーパー歌舞伎ⅱ「ワンピース」で負傷、休演のやむなきに至った。舞台も休演かと思いきや、翌10日、代役により続演。その舞台を拝見した。
猿之助が演じるはずの、夢多き海賊少年ルフィと女帝ハンコックの代役を勤めたのは尾上右近。名優六代目尾上菊五郎の曾孫で、清元節家元延寿太夫の次男である。子役で活躍の後、女形で頭角を現している20代の若手だ。猿之助の知名度、持ち味の穴埋めは出来ないが、台詞もしっかり入り、冒険活劇をスペクタクルに盛り上げた。
これだけ読むと、たった一日でと驚く人もあろうが、パンフレットを見れば直ぐに謎は解ける。右近、坂東新悟、中村隼人を中心にした若手公演が「麦わらの挑戦」としてこの公演に組み込まれているのだ。それが猿之助の怪我でスポットライトを浴びることになったわけだ。この事態、猿之助には気の毒だが、「麦わら」組にも、観客にも、そして経営の松竹にも不幸中の幸いであったと思う。
海外の演劇界では主要な出演者の代役を予め決め、十分稽古をして不測の事態に備えるアンダ―スタディ制度があると聞く。今回の例は若手育成が狙いだったのであろうが、アンダースタディ効果があったと思えなくもない。
猿之助一門には先代から若手公演の前例があった。先代猿之助(現猿翁)のスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」で市川右近(現右團次)が主役を勤める日もあった。
演出より役者本位の日本の演劇界にあって、アンダースタディ制度は難しいかも知れないが、若手公演の併設は、若手育成、主役の休養、事故対策としても有効ではないかと思う。そして何よりも猿之助の一日も早い回復と復帰を願う。=敬称略

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