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2017年12月 8日 (金)

十二月大歌舞伎評

<見>三部制。
第一部.「実盛物語」はやや不満。
愛之助の実盛。不満。口跡のいい役者なのに生締物の重みに負けたのか、台詞に力が入り過ぎ。そのため持ち前の爽やかさが減じられている。仁に叶った役なので、肩の力を抜いて演じればよくなる。
片岡亀蔵の瀬尾は満足。敵役の前半と「もどり」の後半を鮮やかに演じ分けた。娘や孫を思う情がにじみ出る。この演目の柱になっている。
松之助の九郎助、吉弥の女房小よし、猿三郎の仁惣太。子役の太郎吉。敢闘。
笑三郎の葵御前。門之助の小万。
次ぎの「土蜘」。ほぼ満足。
松緑の僧智籌実は土蜘の精。満足。前半、語尾を下げる癖が出ず、高僧に近づいた。後半、クモの糸を放つ立ち回りで見せ場を作る。
彦三郎の源頼光。ほぼ満足。口跡よく、存在感示す。
團蔵の平井保昌。
第二部
「らくだ」。満足。外れることはあまりない作品だが、死体を踊らせて爆笑を取る。
中車の紙屑屋久六。ほぼ満足。気弱な男が酒で強い男に変わる様も、まずまず。
愛之助のやたけたの熊五郎。満足。実盛とは異なり、のびのびと乱暴者を演じている。
亀蔵のらくだの宇之助。満足。台詞なしで、たっぷり笑いを取る。
橘太郎の家主幸兵衛。やや満足。老獪さが、わずかながら出る。
松太郎の家主女房おさい。
次ぎの「蘭平物狂」。満足。「行平館」は平板だが、「奥庭」のダイナミックな立ち回りで大きな見せ場を作っている。
松緑の奴蘭平実は伴義雄。ほぼ満足。前回より一子繁蔵(左近)への情は薄いが。
亀蔵の壬生与茂作実は大江音人。今月大働き。
新悟の女房おりく実は音人妻明石。愛之助の在原行平。児太郎の行平奥方水無瀬御前。
第三部
「瞼の母」。満足。石川耕士の演出で、忠太郎が母おはまと再会を果たす大詰だけでなく、兄弟分半次郎にやくざの足を著せる序幕から涙線を刺激する。
中車の番場の忠太郎。満足。ややかすれた低い声が、渡世人に似合う。裏街道を歩く男の切なさや誠をうまく表す。八月納涼歌舞伎の「刺青奇偶」の半太郎に次ぐ渡世人役。股旅役者とでも言おうか、いい鉱脈を手に入れた。
玉三郎がおはま。大きな料理屋の女将の役同様、舞台をしっかり支える。最後は息子を探しに行き、「忠太郎やーい」と呼ぶことが多いが、「忠太郎―」とだけ呼んだ。この人らしいリアルさである。
彦三郎の半次郎。萬次郎の半次郎母おむら。歌女之丞の夜鷹おとら。いずれもほぼ満足。
最後の「楊貴妃」はほぼ満足。幻想的な耽美の境地。
玉三郎の楊貴妃も、ほぼ満足。京劇に通じる美の世界を作り出した。
中車の方士。
4日所見。
――26「」日まで歌舞伎座で上演。

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