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2017年12月19日 (火)

焦点・竹本駒之助の文化功労者認定を祝う

女流義太夫・浄瑠璃語りの人間国宝・竹本駒之助が文化功労者に選ばれた。斯界初の快挙である。暮れの12月16日に東京・紀尾井小ホールで開かれた義太夫協会主催の演奏会は、協会から花束が贈られるなど祝賀公演の趣であった。
この日、駒之助が語ったのは「仮名手本忠臣蔵」の九段目「山科閑居の段」の前と奥。いずれも一世一代と言っても過言ではない渾身の名演であった。
前では鶴澤津賀寿の三味線に乗せ、生さぬ仲の娘・小浪を嫁入りさせるための決死の覚悟と愛情をドラマチックに聴かせ、聴衆の心を揺さぶった。
奥では一転、沈着冷静な由良之助。小浪のために命を捨てる父・本蔵を体当たりの熱演で語る越孝、手堅いお石の綾之助、戸無瀬の土佐子、初々しい力弥の越京、小浪の越里たち後輩の中にあって、その渋い声は落ち着きと貫禄で舞台を牽引する。寛也の三味線と共に、一座は歌舞伎や文楽に劣らぬ劇世界を造形した。
昭和24年の入門以来の精進で至芸を構築した駒之助に、終演後、楽屋で聞いた。
永年の功労を認められたことについて、
「今まで欲も得も何も考えないで、この道一筋にやってきました。続けてきたことについていただいたのではないかと思います」と述べた後、「初めに聞いたときは、これは何かいなと驚きました。これまで名人の先輩がたくさんいらっしゃるのにいただけなかった。なぜ私がと思いましたが、あの世に行っていらっしゃるお師匠さんたちが応援してくれているのではと思います」と続けた。
由良之助を重厚に語ったばかり。男の世界と思われる義太夫節について、
「女風にやるとか男風にやるのではなくて、元々男のものとして出来ていますから、私は女くささを出さないようにしています。女らしさを売り物にしないようにと思っています。後に続く方にも、ごく自然にやってもらいたい」
現在、女流義太夫での舞台に立つ女性は東京で30人ほど、後進への願いが出たところで、これからの展望や指導について聞くと、
「これを続けていくことは大変なこと。でも、がんばってもらいたい」と話す。
そして最後にうれしいことを言ってくれた。
「出来る限り伝えていきたいと思っていますので、(若い人に)結構やかましくいっています。嫌われてもいいから、言うべきことは言わなければいけません」
この心意気が未来を照らす。。
=敬称略(伝統文化新聞にも掲載します)

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