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2019年10月 8日 (火)

東宝ミュージカル「ラ・マンチャの男」評

松本白鸚が喜寿にしてブロードウェー・ミュージカル「ラ・マンチャの男」に取り組んだ。本人の初演以来、半生記。今公演中に本役主演通算1300回を超すという。偉業である。

演出は白鷗、演出スーパーバイザーに宮崎紀夫。

作者セルバンテスは宗教裁判にかけられるため地下牢に押し込められるが、牢名主の命によりドン・キホ-テの物語を書き、自ら演じる。多重構造の物語である。

古い騎士道に心酔するキホーテの愚直なまでの純粋さは、不純な世間との乖離を生む。それは、あばずれ女アルドンサを気高いドルシネア姫へと昇華させる。

白鷗は当たり役のセルバンテスとキホーテ。これまで以上に磨きがかかる。

事実は真実の敵である、物は見る者により変わるなどふんだんにちりばめられたシニカルで知的な台詞が白鷗に似合い、一方でコミカルな味も加味することを忘れない。

しかし刮目すべきは一向に衰えぬ歌唱力である。天与のギフテッドであろうか、歌舞伎で鍛えし賜物なのであろうか。

際立つのは名曲「見果てぬ夢」。夢の稔り難きことを朗々と歌い上げ、人生の悲哀を感じさせる。そして勇気を与えてくれるのである。

共演陣も熱演であった。瀬奈じゅんのアルドンサ、駒田一のサンチョ、上条恒彦の牢名主など。

7日、帝劇所見。

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