« 吉例顔見世大歌舞伎評 | トップページ | 十二月大歌舞伎評 »

2019年11月11日 (月)

11月歌舞伎「孤高勇士嬢景清」評

初代白鸚が景清を演じてきた「嬢景清八嶋日記」を国立劇場文芸研究会が補綴、吉右衛門が景清を勤めた。

平家滅亡後も源頼朝を執拗に付け狙う景清は娘のけなげな行為を知り、復讐への執着を捨て頼朝に帰順する。心の解放をテーマとする作品になった。

奈良・東大寺で怨敵・頼朝と対峙した景清は頼朝の度量を知り、復讐を断念するため自ら両眼をえぐり、盲目となる。現実では考えられない行為だが、吉右衛門の迫真の演技はこの行為を納得させる。

日向の国で物乞いとなった景清は、はるばる訪ねてきた娘・糸滝が身を売り金を工面したことを知り慟哭する。この嘆きは激しく、大きな見せ場を作った。

やがて源氏に対する憤怒から解き放たれた景清は船で鎌倉に向かうが、ここでは恕の境地を表した。見方を変えればノーサイド。後味のいい芝居になった。

歌六が頼朝と、糸滝が自ら身を売りにくる女郎屋・花菱屋亭主長の二役でいい仕事をした。頼朝は人徳の備わった大物に描き、長は女房に頭の上がらない好人物にした。

東蔵が口うるさい花菱屋女房おくま。芸達者なところを見せる。

雀右衛門の糸滝、又五郎の肝煎左治太夫、錦之助の秩父庄司重忠。

5日、国立劇場所見。

« 吉例顔見世大歌舞伎評 | トップページ | 十二月大歌舞伎評 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 吉例顔見世大歌舞伎評 | トップページ | 十二月大歌舞伎評 »

無料ブログはココログ